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2005.05.10 Tue
肉体と魂

ヴィンセント・セクワティ・マントソ-の
「アリス零番舘 -IST」での公演に行ってきました。

1st piece;Gula
闇の中、鳥が啼く。光満ちると、Tシャツで顔を覆ったヴィンセント・セクワティが舞台の隅に。鳥であるヴィンセントが啼く。ゆっくりと歩を進める。Tシャツを脱ぐ。アフリカンな色彩の蝶々の柄の白っぽいゆったりとしたパンツに、張りつめた褐色の筋肉が美しい。そして、彼の瞳。エネルギーあふれる眼。痙攣的に首を動かし、ギラリ見開かれた眼で世界を発見し、鳥が踊る。無音の中、翼を広げ、地面を蹴り、力強く羽ばたく鳥。鋭い声を挙げると、音楽がこぼれだし、空気が緊張感を孕む。野生味あふれる強くしなやかな肉体の向こうに、遠い地平が見えるような気がする。鳥が地面を蹴り、砂埃が舞う、熱く乾いた風が吹き込む、しかし鳥は飛ぶことはない。ただ、必死に地面を蹴り、翼をはためかせる。これは人間なのだと思う。重力という、暴力的な大地の力と、闘う人間。

休憩。 2nd piece;Motswa-Hole
木の器に水がたたえられている。細く引き裂かれた包帯のような白い布が、舞台に転がっている。上半身裸で、ところどころ破れた黒いぴっちりとしたパンツ姿で立ちつくすヴィンセント・セクワティ。腰に巻かれた織物が彼のルーツを語る。さきほどの張りつめた筋肉と異なり、リラックスした獣のよう。足で少し水をなでる、祈りを捧げながら器をぐるりと回る。パシャっと聖なる水をはじく。と、音楽。パワフルな男性ボーカルのアフリカンミュージック。空間の温度が一気に上昇する。肉体が熱く躍動する。ほんますごい。すごいよー。エネルギッシュなリズムそのものとなった彼は、その力強い眼の光で、わたしたちをとらえながら、地面を激しく踏む。上半身にはびっしりと汗の玉。神の水を浴び、ふたつの液体は混じり合い、彼はさらに強靱に踊る、踏む、浴びる、踊る、踏む、浴びる。そして、水浸しの床の上で、激しくステップを踏む。光を反射する水しぶき。水しぶきと踊る。彼の肉体からも水が飛び散る。観客に飛び散る。前へ、前へ進み、観客に水しぶきを飛ばす。このへんでもうギラギラ笑ってはりますねんヴィンセント・セクワティ。そのあまりに無邪気な笑顔でわたしの顔もほころぶねん。もう、観客を狙って、水飛ばす飛ばす。他人じゃないね、こうなったら。兄弟やね、みんな。みんな同じ太陽の子やね。こんなにリラックスするの久々やね。楽しいな~、水かけられて、笑って。そして、最後に、白い布を背負い、彼はゆっくりと去っていきます。家に戻って行きます。蛍の光、窓の雪。さみしいけど、ほんまにありがとう。楽しかった。またあそぼ。

この2作品に共通することは、大いなるものと同一化するプロセスでなく、対峙するプロセスなのだということです。肉体を通じて、人間という存在を、天に地に、懸命に叫び、必死に知らしめようとする行為。「わたしたちはここに生きている」ということを、全身全霊かけて叫ぶダンス。本当に圧倒されました。生きとし生けるものへの愛おしさに満ち、かつてあったものといまここにあるものとが一直線につながり、自らのルーツにリアリティを感じることのできる彼に、彼の文化に尊敬と憧れの念を抱きました。ダンスすることは生きることだと改めて感じ入るパフォーマンスでした。

短い期間に、マイケル・シューマッハとヴィンセント・セクワティというバックグラウンドの全く異なったダンサーのソロダンスを見て、日本人としてのダンスについて色々考えました。

つづく・・・。
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【アンナの日記】

ホロコーストの時代に生きたアンネ・フランクにこの日記は関係ないけれどいつか訪れたいアウシュビッツの風景を記録として記憶として鮮明に残せるよう日常を少しづつ撮影してみたり文章を書いてみたり

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