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2006.07.20 Thu
「心臓を貫かれて」

帰り道はひどい雨だった。
アスファルトで固められた地面は、
雨水を吸収することができず、
水をそこに留めている。
そこから溢れかえる水は、
地上の汚れを含み、
低きへと流れ落ちていく。

アメリカの地に降る雨。
地はもうそのどろどろとした液体を含むことができない。
溢れる雨が作りだした、地の表面をごうごうと流れる河。
そこに立つわたしの足は、泥に塗れ、赤く染まる。
そして、その強烈な流れに足をとられ、
錆びた鉄の匂いのするその河に、ずぶずぶと沈んでいく。
わたしの躯はその液体に飲み込まれ、
わたしの口はその液体を飲み込み、
わたしの肺をいっぱいに満たす。
もう息はできない。
深い渦に巻き込まれ、
もうどこにも戻ることはできない。

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「クレマスター2」は、一連のシリーズの中でも異色の作品だった。「クレマスター」全作品に通底する、つるりとした半透明の精液のイメージ。ツンと抜けるアルカリの臭い。けれど、「クレマスター2」では、どろどろとした赤黒い血が、直裁的に現れる。ぬめぬめとした血の拘束、血の連鎖、血の呪い。その錆びた酸性の匂いに刺激され、本の頁をめくりはじめた。

読みながらそのあまりの闇の濃さに頭痛がする。
ここから、脱出できるのか。救済はあるのか。
フーディニーの奇術は、真の脱出を為し得るのか。

読みかけの本を閉じ、
わたしはその呪いの恐怖を少し逃がす。


 『心臓を貫かれて』(マイケル・ギルモア)より

 僕はこの物語をよく知っている。何故なら僕はこの物語の中に閉じこめられていたからだ。僕は生まれてこの方、その原因と結果の中に、細部と、消し去ることのできない教訓の中にずっと生きてきた。僕はこの物語に出てくる死者たちのことを知っている。彼らがなぜ他人の死を作りだしたか、なぜ自らの死を求めたかを知っている。そしてまた、ここから立ち去りたいと望むのなら、僕は自分の知っていることを語らなくてはならないのだ。
 だから、さあ、話を始めよう。

 僕の兄は罪もない人々を殺した。名前をゲイリー・ギルモアという。
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【アンナの日記】

ホロコーストの時代に生きたアンネ・フランクにこの日記は関係ないけれどいつか訪れたいアウシュビッツの風景を記録として記憶として鮮明に残せるよう日常を少しづつ撮影してみたり文章を書いてみたり

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